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外国人がやりがちな敬語ミス8選:どれから直せばいい?

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この記事は 概念の説明ではなく診断ツール です。8つのミスを「どれから直すべきか」の順番で並べました。冒頭のチェックリストで自分の優先順位を決めてから読むのがおすすめです。


まず自己診断:30秒で「直すべきミス」を特定する

次の5問にYes/Noで答えてみてください。1つでもYesがあれば、その下のセクションが最優先です。

  1. 自分の動作に「いらっしゃいます」「召し上がる」を使ったことがある → ミス1へ
  2. 社外の人に「了解しました」と返したことがある → ミス3へ
  3. 上司に「ご苦労さまです」と声をかけたことがある → ミス4へ
  4. 会議やメールで「資料になります」「会議のほうは…」のような言い方をする → ミス5へ
  5. 「お送りさせていただきます」のように「させていただく」をよく使う → ミス6へ

全部Noなら、おそらく致命度3のクセが残っているだけです。後半まで読み飛ばして大丈夫です。


致命度の考え方:すべてのミスは同じ重さではない

外国人向けの敬語記事の多くは「ミス1, 2, 3…」と並列で並べますが、現場ではミスごとにダメージの大きさがまったく違います

この記事では8つのミスを次の3段階に分けて整理します。

致命度どんなミス?影響範囲
致命度1敬語が成立していない(方向が逆)相手が誰でも一発でわかる。「敬語を知らない人」と即判定される、もっとも重いミス
致命度2社外・目上では命取り社内同僚ならセーフだが、客や役員に使うと一発で「この人わかってない」と思われる
致命度3じわじわ印象を削る文法的にはギリギリ許容範囲。ただし多用すると素人感や、丁寧すぎてかえって他人行儀に聞こえる雰囲気が出る

迷ったら 致命度1 → 2 → 3の順に直す。これが本記事の背骨です。


致命度1:今すぐ直すべき2つ

文法レベルの誤りで、相手が誰であっても違和感を与えます。他の何を差し置いても先に直すべきミスです。

ミス1:自分の動作に尊敬語を使う(敬意の方向が逆)

自分の動作には謙譲語、相手の動作には尊敬語。これを逆にすると、自分を高めて相手を下げてしまいます。

NGOK
例文私がいらっしゃいます私が参ります
ローマ字watashi ga irasshaimasuwatashi ga mairimasu
何が違う?「いらっしゃる」は尊敬語=相手用「参る」は謙譲語=自分用

なぜダメか: 「いらっしゃる」は相手を持ち上げる言葉。自分に使うと「私さま」と言っているような響きになります。

A/B/Cの枠組みで言えば、C列の中で尊敬語と謙譲語を取り違える タイプのミス。詳しい動詞ペアは「敬語チートシート」のクイック表で確認できます。

ミス2:自社の上司の動作に謙譲語を使う(内と外の取り違え)

社内で上司について話すときは尊敬語ですが、社外の相手に上司の話をするときは謙譲語に切り替えます。ここで切り替え忘れると、自社の上司を客の前で持ち上げてしまい、内と外の感覚が逆転します。

場面NGOK
客に部長の伝言を伝える田中部長がおっしゃっていました田中が申しておりました
客に課長の予定を伝える鈴木課長は外出していらっしゃいます鈴木は外出しております

なぜダメか: 社外に向かって自社の人間を「いらっしゃる」と高めると、客より自分の上司を上に置く構図に見えます。日本では客が一番上で、自社の上司は「身内」扱いで下げる、というのが鉄則です。

この感覚は「職場で通じる敬語ガイド」の「内と外」セクションで詳しく扱っています。


致命度2:社外・目上では命取りな3つ

文法的には間違っていません。社内の同僚相手ならむしろ自然です。ただし相手が社外の人や目上になった瞬間、一発で「敬語がわかっていない」と思われるタイプのミスです。

ミス3:「了解しました」を社外・目上に使う

「了解」には上から下への確認というニュアンスが含まれる、と感じるネイティブが一定数います。社内の同僚相手なら問題ありませんが、客や上司には不適切です。

相手NGOK
客・取引先了解しました承知いたしました/かしこまりました
上司了解です承知しました/かしこまりました
同僚(社内)了解です(これは OK)

置き換え3段ラダー: 「わかりました」→「承知しました」→「承知いたしました」。社外メールなら3つ目で迷わず統一すると安全です。

ミス4:「ご苦労さまです」を上司に使う

「ご苦労さま」は歴史的に上から下にかける言葉。上司や年上の同僚に使うと、自分が上から評価しているような響きになります。

相手NGOK
上司・先輩ご苦労さまですお疲れさまです
部下・後輩お疲れさまです(OK。ご苦労さまも文脈次第)

覚え方: 社内では老若男女問わず「お疲れさまです」で統一しておけば事故りません。「ご苦労さま」を能動的に使う場面は、外国人にとってはほぼゼロです。

ミス5:バイト敬語を社外で使う(〜になります/〜のほう)

「こちら、コーヒーになります」「お会計のほうは…」のような表現は、サービス業のマニュアルから広まったもので、バイト敬語(マニュアル敬語) と呼ばれます。サービス業の店内ではある程度許容されますが、ビジネスメールや会議で使うと一気に素人感が出ます

NG(バイト敬語)OK
こちらが資料になりますこちらが資料でございます/資料です
会議のほうは10時からです会議は10時からです
ご請求書になりますご請求書をお送りします

判定の目安: 「〜になります」を「〜です/〜でございます」に、「〜のほう」を削除しても意味が通るなら、それがバイト敬語です。


致命度3:印象をじわじわ削る3つ

文法的にはギリギリ許容範囲。ただし多用すると「敬語を頑張りすぎている人」「過剰に丁寧な人」という印象が積み重なります。直接訂正されにくいので気づきにくいですが、長期的に評価に影響します。

ミス6:「させていただきます」の多用

便利すぎて多用しがちですが、本来は 相手の許可が必要な行為にだけ使う のが正しい用法です。

場面NG(過剰)OK
資料を送るとき資料をお送りさせていただきます資料をお送りします/お送りいたします
確認するとき(許可不要)確認させていただきます確認いたします
休みを取るとき(許可必要)お休みをいただきます/お休みさせていただきます(これは OK。許可が必要だから)

判定の目安: 「相手の許可・厚意があって初めて成立する行為か?」を自問する。Yesなら「させていただく」、Noなら「いたします」が自然です。

ミス7:二重敬語(敬語を重ねすぎる)

1つの動詞に敬語のレイヤーを2重にかけると、文法的に過剰になります。

NG(二重敬語)OK
お読みになられるお読みになる/読まれる
ご覧になられるご覧になる
おっしゃられるおっしゃる

ルール: 1つの動詞に敬語は1層まで。「お〜になる」と「〜られる」のどちらか一方で十分です。

ミス8:「お」と「ご」の使い分けを外す

基本ルールは 和語(訓読み)には「お」、漢語(音読み)には「ご」

系統接頭辞
和語(訓読み)お名前、お時間、お手紙
漢語(音読み)ご連絡、ご確認、ご案内

例外メモ: 「お電話」「お料理」など漢語でも「お」を取るものがあります。迷ったら原則で9割正解、残り1割は使うたびに覚えていけば大丈夫です。


相手別の許容マトリクス:このミス、誰相手なら致命的?

同じミスでも、相手が誰かでダメージの度合いが変わります。次の表で「自分が誰相手にミスを出しがちか」を確認してください。

ミス同僚上司取引先・客ベンダー
ミス1:敬意の方向逆×××
ミス2:内と外の取り違え×
ミス3:了解しました×
ミス4:ご苦労さま××
ミス5:バイト敬語×
ミス6:させていただく多用×
ミス7:二重敬語
ミス8:お/ご取り違え

凡例: 問題なし/ 場面次第/× 不適切/ 該当場面なし

読み方: ×の多い列(取引先・客)から優先的に潰す。社内同僚との会話なら○が多いミスは後回しでよい、というのが現実的な直し方です。


チャネル別のミス:Slack・メール・会議で気をつけることは違う

敬語のミスは使うチャネルによっても見え方が変わります

Slack・Teams

チャットツールは「軽い会話」のイメージが強く、丁寧度を下げがちです。ただし相手が他部署の部長や社外のパートナーの場合、Bだとカジュアルすぎて距離感を誤る ことがあります。

原則: 丁寧度はチャネルではなく相手で決める。SlackだからB、という思い込みを一度捨てるのがコツです。

メール

メールはチャットより1段階上の丁寧度を意識します。

対面・会議

その場で訂正される確率が一番高いチャネル。ミス1〜2(致命度1)はここで露呈しがちなので、対面の場では主語が「自分」か「相手」かを一拍置いて確認する習慣をつけると安全です。


ネイティブも実は間違える — 完璧主義は逆効果

ここまで読んで「自分は何個もやらかしている」と落ち込む必要はありません。ネイティブも全員が完璧に敬語を使えているわけではありません

外国人の敬語ミスは、「努力している姿勢が見えている分、ネイティブよりむしろ寛容に受け取られる」 という現実もあります。

だからこそ、致命度1だけは最初に直す。残りはゆっくり修正していけば十分間に合います。完璧を目指して動けなくなるより、優先順位の高いミスから1つずつ潰すほうが効率的です。


明日から使える3つのリカバリ・フレーズ

うっかりミスを出してしまったときの言い直しフレーズを3つだけ覚えておくと、リカバリーがスムーズになります。

  1. 「失礼しました、承知いたしました」 — 「了解しました」と言ってしまった直後にこれで上書き
  2. 「言い直します、〜と申しておりました」 — 社外の前で自社の上司を尊敬語で持ち上げてしまったとき
  3. 「あ、〜いたします」 — 「させていただきます」を言いかけて違和感を覚えたら短く切る

完璧じゃなくていい。気づいた瞬間に直せる人 のほうが、敬語マスターよりも信頼されます。


よくある質問

一番ありがちな敬語ミスは?

自分の動作に尊敬語を使ってしまうミス(ミス1) です。「いらっしゃいます」「召し上がる」を自分について言ってしまうケースで、外国人ビジネスパーソンの中では最頻出と言われます。敬語の方向(相手を持ち上げる尊敬語と、自分を低める謙譲語)を意識し直すだけで、このミスは消えます。

二重敬語ってどこまでがアウト?

1つの動詞に敬語を2層かけたらアウト が原則です。「お読みになられる」「ご覧になられる」「おっしゃられる」など、すでに敬語化された動詞にさらに「〜られる」を重ねるパターンが典型例。「お読みになる」または「読まれる」のどちらか一方で十分です。一部の慣用化された二重敬語(「お伺いいたします」など)は例外的に許容されています。

「了解しました」はなぜ社外でNGなのか?

「了解」には上から下への確認というニュアンスを感じる日本人が一定数いるからです。社内の同僚相手なら問題ありませんが、社外のクライアント・取引先・目上の相手には「承知いたしました」または「かしこまりました」が安全です。社外メールでは迷わず後者に置き換える習慣をつけましょう。

バイト敬語って結局直したほうがいい?

ビジネスシーンでは直したほうがいい です。サービス業の店内では許容されている表現でも、ビジネスメールや会議で「〜になります」「〜のほう」を使うと素人感が一気に出ます。「〜です/〜でございます」に置き換えるだけで印象が大きく変わるので、コスパの高い修正対象です。

ネイティブから「気にしないで」と言われたら気にしなくていい?

致命度1のミス(敬意の方向逆・内と外の取り違え)は気にすべき。それ以外は段階的に修正で大丈夫です。「気にしないで」は社交辞令の側面もあるので、ミスを完全にスルーしてよいというサインではありません。優先順位をつけて、致命度1から確実に潰していくのが現実的なアプローチです。


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