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この記事を読むべき人
- 日本企業で働く外国人ビジネスパーソンで、メールや会話の途中で「この動詞の敬語、なんだっけ?」と詰まることがある
- 日本語学習者(JLPT N3〜N1) で、敬語の概念は知っているが、業務中にサッと引けるリファレンスがほしい
- すでに「職場で通じる敬語ガイド」を読み終えた人 で、毎日参照する早見表だけ手元に置いておきたい
この記事は 「読み物」ではなく「リファレンス」 です。最初から読む必要はありません。冒頭の目次から、必要なセクションへ直接ジャンプしてください。
チートシートの使い方(A/B/C凡例)
Real-World Japaneseでは、同じ意図を3つの丁寧度(A・B・C)で言い分ける という枠組みを使っています。このチートシートのすべての行は、A・B・Cのいずれが妥当かが一目でわかるようになっています。
| レベル | 丁寧度 | 使う相手 | 雰囲気 |
|---|---|---|---|
| A | カジュアル | 同期・親しい後輩・家族 | フランク、タメ口寄り |
| B | ニュートラル丁寧 | 上司・他部署・初対面の社内 | 敬語だが過度に改まらない |
| C | フォーマル | 顧客・役員・謝罪・公式文書 | 最大限の敬意、硬い |
迷ったらB。同期にCは逆に距離を作るし、上司にAはNG。Bを基準に、相手との距離感でAかCに振るのがネイティブの感覚にいちばん近い運用です。
内(うち)と外(そと)
A/B/Cを選ぶときには、「相手が自分の内(社内)か、外(社外)か」 という軸も効いてきます。ざっくりの原則は 「内にはB、外にはC」。同じ上司でも、社内で話すときは「外(目上 = Cに寄せる)」ですが、社外の顧客に上司の話をするときは「内(身内扱い = 謙譲語で下げる)」になります。詳しくは「職場で通じる敬語ガイド」の内・外(uchi-soto)の節を参照してください。
動詞表のC列が2つに分かれている理由
Cには 尊敬語(相手の動作を持ち上げる) と 謙譲語(自分の動作を低める) の2系統があります。同じ「行く」でも、相手の動作なら「いらっしゃる」、自分の動作なら「参る/伺う」と使い分けます。
主語が 相手 ならC-尊敬 列、主語が 自分 ならC-謙譲 列を引いてください。
動詞早見表 — よく使うTop30
業務でよく使う動詞を、頻出順におおむね並べました。A・Bはほぼ全動詞で「原形 → ます形」のパターン なので、読み飛ばしてC-尊敬/C-謙譲/よくある誤用列を中心に引くのが効率的です。
| 基本形 | A カジュアル | B 丁寧 | C 尊敬(相手) | C 謙譲(自分) | よくある誤用 |
|---|---|---|---|---|---|
| する | する | します | なさる | いたす | 自分の動作に「なさる」を使う(自分を持ち上げてしまう) |
| 言う | 言う | 言います | おっしゃる | 申す/申し上げる | 上司に「申される」(謙譲+尊敬の混在) |
| 聞く(質問) | 聞く | 聞きます | お聞きになる | 伺う | 「お伺いさせていただく」は二重敬語 |
| 確認する | 確認する | 確認します | ご確認くださる | 確認いたします | 自分の動作に「ご確認いたします」(謙譲なら「ご」は不要) |
| 連絡する | 連絡する | 連絡します | ご連絡くださる | ご連絡いたします | 自分の連絡に「ご連絡なさいます」 |
| 思う | 思う | 思います | お思いになる(まれ) | 存じる/存じます | 「存じております」と「存じています」の混同(後者は弱い) |
| 知る/知っている | 知ってる | 知っています | ご存じです | 存じております | 「ご存知ない」を上司に使うと角が立つ(婉曲に「お聞きでない」など) |
| わかる | わかる | わかります | ご理解くださる/ご理解いただく | 承知いたします/かしこまります | 社外メールに「了解しました」(社内Bまで)。「おわかりになる」は文法的には可だが、相手にやや上から目線に響く場合あり |
| 行く | 行く | 行きます | いらっしゃる | 伺う/参る | 自分について「いらっしゃいます」 |
| 来る | 来る | 来ます | いらっしゃる/お越しになる | 参る | 上司について話すとき「来られる」と「いらっしゃる」が混在する |
| いる | いる | います | いらっしゃる | おる | 「社長はおられますか」:西日本では尊敬として使う方言もあるが、標準的なビジネスでは「いらっしゃいますか」が無難 |
| 見る | 見る | 見ます | ご覧になる | 拝見する | 自分の行為に「ご覧になりました」 |
| 読む | 読む | 読みます | お読みになる | 拝読する | 「拝見ください」(拝見は謙譲なので命令形にできない) |
| 送る | 送る | 送ります | お送りくださる | お送りする/お送りいたします | 「お送りさせていただきます」(不要な「させていただく」) |
| もらう | もらう | もらいます | (回避:お受け取りになる) | いただく/頂戴する | 「いただかれる」(謙譲+尊敬の混在) |
| あげる | あげる | あげます | (回避) | 差し上げる | 上司に「資料をあげる」(差し上げる) |
| 待つ | 待つ | 待ちます | お待ちくださる | お待ちする/お待ちいたします | 「お待たせしております」(待たせ続けている最中)と「お待たせいたしました」(完了後)の混同に注意 |
| 会う | 会う | 会います | お会いになる | お目にかかる | 「お会いさせていただく」(過剰) |
| 伝える | 伝える | 伝えます | お伝えくださる | 申し伝える/お伝えする | 社内の上司の伝言を社外に伝えるときは「お伝えします」ではなく「申し伝えます」 |
| 教える | 教える | 教えます | ご教示くださる/ご指導くださる | お教えする/ご説明する/ご案内する | 「ご教示いたします」:ご教示は相手に求める語で、自分の動作には不自然。自分側は「ご説明いたします/ご案内いたします」が自然 |
| 説明する | 説明する | 説明します | ご説明くださる | ご説明する/ご説明いたします | 「ご説明させていただきます」(多用しすぎ) |
| 答える | 答える | 答えます | お答えくださる | お答えする/お答えいたします | 「ご回答させていただきます」(過剰敬語) |
| 食べる | 食べる | 食べます | 召し上がる | いただく | 「お召し上がりください」は二重敬語だが、慣用化しているため実務上は問題ない |
| 飲む | 飲む | 飲みます | 召し上がる | いただく | 同上 |
| 帰る | 帰る | 帰ります | お帰りになる | 失礼する/お暇する | 退社時の「お先に失礼いたします」を社外には使わない(「失礼いたします」のみ) |
| 席を外す | ちょっと抜ける | 席を外します | 席を外していらっしゃる | 席を外しております | 客先で「外しています」(→「外しております」)。「外させていただきます」は許可を得て離席する場面専用、状態説明には使わない |
| 渡す | 渡す | 渡します | お渡しくださる | お渡しする/お渡しいたします | 「ご納品させていただく」(させていただく多用) |
| 検討する | 検討する | 検討します | ご検討くださる | 検討いたします/検討させていただく | 返事の決まり文句として「検討させていただきます」を多用すると、先送りの婉曲と取られる |
| 提出する | 提出する | 提出します | ご提出くださる | 提出いたします | 「ご提出させていただきます」(不要)。なお「お納めする」は物品・成果物(納品物)を渡す語で、書類提出には使わない |
| 頼む | 頼む | 頼みます | ご依頼くださる | お願い申し上げる/お願いいたします | 「お願いさせていただきます」(不要) |
使い分けの基本:相手の動作には C-尊敬、自分の動作には C-謙譲。同じ「C」でも主語が誰かで列を切り替えます。迷ったら「主語は誰?」を先に確認するのがコツ。
場面別早見表 — 10シーン × A/B/C
業務で1日に1回は遭遇する10場面について、A/B/Cのコピペ可能な定型句を載せました。社内ならB、社外ならC が基本ルールです。
1. 出社・入室時のあいさつ
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | おはよー | ohayō |
| B | おはようございます | ohayō gozaimasu |
| C | おはようございます(+軽いお辞儀) | ohayō gozaimasu |
誤用注意:朝のあいさつでAを使える相手は極端に狭い。社内でも基本Bからが安全。
2. お礼を言う
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ありがとう/サンキュ | arigatō / sankyu |
| B | ありがとうございます | arigatō gozaimasu |
| C | ご丁寧にありがとうございます | go-teinei ni arigatō gozaimasu |
誤用注意:「ご苦労さまです」は 上 → 下専用。上司や先輩には「お疲れ様です」を使う。
3. 軽い謝罪(遅刻・誤字など)
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ごめん/ごめんね | gomen / gomen-ne |
| B | すみません | sumimasen |
| C | 申し訳ございません | mōshiwake gozaimasen |
誤用注意:本当に相手に迷惑をかけた場面で「すみません」だけだと弱い。Cに切り替える判断が大事。
4. 依頼する
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | これお願い | kore onegai |
| B | これお願いできますか? | kore onegai dekimasu ka? |
| C | お手数ですが、こちらご対応いただけますでしょうか | otesū desu ga, kochira go-taiō itadakemasu deshō ka |
誤用注意:「お願いさせていただきます」は不要な「させていただく」。シンプルに「お願いいたします」でよい。
5. 断る・辞退する
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ごめん、今日は無理 | gomen, kyō wa muri |
| B | すみません、今日は難しいです | sumimasen, kyō wa muzukashii desu |
| C | 恐れ入りますが、本日は都合がつかず…… | osore irimasu ga, honjitsu wa tsugō ga tsukazu… |
誤用注意:日本語では「NO」を直接言わないのがデフォルト。「難しい」「都合がつかない」が実質的な「NO」。
6. 了解の返事
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | りょうかい/OK | ryōkai / OK |
| B | わかりました | wakarimashita |
| C | 承知いたしました/かしこまりました | shōchi itashimashita / kashikomarimashita |
誤用注意:⚠️ 「了解しました」は社内Bまで。社外や目上には「承知いたしました」が安全。外国人がやらかしやすいミスNo.1。
7. 質問する(不明点がある)
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ここどういうこと? | koko dō iu koto? |
| B | ここの意味、確認させてください | koko no imi, kakunin sasete kudasai |
| C | 恐れ入ります、こちらの点について確認させていただけますでしょうか | osore irimasu, kochira no ten ni tsuite kakunin sasete itadakemasu deshō ka |
誤用注意:「〜させてください」は許可を取る形で依頼する万能型。Bレベルで便利だが、社外メールには弱いのでCに切り替える。
8. 席を外す・中座する
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | ちょっと抜けるね | chotto nukeru ne |
| B | 少し席を外します | sukoshi seki wo hazushimasu |
| C | 少々席を外させていただきます | shōshō seki wo hazusasete itadakimasu |
誤用注意:商談中の中座は必ずC。Bでは軽すぎる印象。
9. 電話を切る・会議を終える
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | じゃあ、またね | jā, mata ne |
| B | それでは、失礼します | soredewa, shitsurei shimasu |
| C | お忙しいところありがとうございました。失礼いたします | o-isogashii tokoro arigatō gozaimashita. shitsurei itashimasu |
誤用注意:「失礼します/失礼いたします」を言わずに切ると非常に不自然に聞こえる。電話の定型句は必ずセットで覚える。
10. メールの冒頭
| レベル | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| A | (親しい同僚宛のチャット)お疲れ〜 | otsukare〜 |
| B | お疲れ様です。〇〇です。 | otsukaresama desu. 〇〇 desu. |
| C | いつも大変お世話になっております。〇〇社の〇〇でございます。 | itsumo taihen osewa ni natte orimasu. 〇〇-sha no 〇〇 de gozaimasu. |
誤用注意:社内メール = B、社外メール = C が鉄板。社内でCを使うと慇懃無礼に聞こえる。
接頭辞「お」「ご」早見表
接頭辞「お」「ご」の付け方は、ほぼ次の3行で説明できます。
| ルール | 例 | 補足 |
|---|---|---|
| 和語(訓読み)→ お | お名前、お時間、お手紙、お願い | 例外あり:お電話(漢語だが「お」が定着) |
| 漢語(音読み)→ ご | ご連絡、ご確認、ご案内、ご教示 | 例外あり:お料理、お弁当(慣用で「お」) |
| 外来語 → 通常つけない | コーヒー、メール、データ | 「おビール」などの女性的・接客用法は別文脈 |
迷ったときの最終手段:「お」を付けて変なら「ご」、どちらもしっくり来なければ無理に付けない方が安全。「お検討」「ごメール」のような不自然な接頭辞は、付けないより悪い印象を与える。
外国人がよくやる4つの誤用
誤用1:「了解しました」を社外に使う
「了解」には 上から下への確認 というニュアンスが含まれる、と感じる日本人が多い。社外メールでは「承知いたしました」「かしこまりました」が安全。社内の同僚相手なら問題ない。
誤用2:「ご苦労さまです」を上司に使う
「ご苦労さま」は 上 → 下専用。上司・先輩には「お疲れ様です」。これも誤用しやすい代表例。
誤用3:「〜させていただく」の多用
便利な一方、本来は 相手の許可が必要な行為にだけ使う のが正しい用法。「確認させていただきます」(相手の資料を確認)は問題ないが、「お送りさせていただきます」(自分が送る行為に許可は不要)は過剰敬語。シンプルに「お送りします」で十分な場面が多い。
誤用4:謙譲語を相手に向ける
「社長はおられますか?」「資料を拝見してください」のような、自分側を低める語(謙譲語)を相手に向けてしまう 誤用。動詞早見表のC-尊敬/C-謙譲 列を見間違えると起きる。主語が誰かを先に確認する 習慣をつければ防げる。
もっと深く学びたい方へ
このチートシートは「職場で通じる敬語ガイド」のリファレンス版です。「なぜそうなるのか」「A/B/Cの感覚をどう身につけるか」 までを解説した本編は親記事を参照してください。
cluster内の他のsibling記事もあわせてどうぞ:
- フル例文・対話を読みたい → 「敬語の例文30選」。面接・電話・メール・Slackの全文対話付き
- 自分のミスを診断したい → 「外国人がやりがちな敬語ミス8選」。8つの典型ミスを致命度別に
- シーン別フレーズ集をPDFで保存したい → 「ビジネス日本語フレーズ集」。30フレーズをコピペ可能形式で
- オフィスで毎日言う10フレーズ → 「日本のオフィスで使う丁寧フレーズ10選」。出社から退社までの時系列ガイド
- これから敬語を学ぶ学習プラン → 「敬語を最短で身につける学習法」。チートシートを使う前段の90日ロードマップ
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よくある質問
動詞早見表に載っていない動詞はどう変換すればいい?
ほとんどの動詞は次の2つの規則でC形を作れます。尊敬語は「お/ご + 動詞 + になる」(例:お読みになる、ご利用になる)、謙譲語は「お/ご + 動詞 + する/いたす」(例:お送りする、ご説明いたす)。早見表に載っているのは「不規則変化」する高頻度動詞で、これ以外は規則変化で対応できます。
C列が「尊敬」と「謙譲」に分かれているのはなぜ?
同じ「C(フォーマル)」でも、相手の動作を持ち上げるとき(尊敬語) と 自分の動作を低めるとき(謙譲語) で使う語が違うからです。たとえば「行く」は、相手なら「いらっしゃる」、自分なら「参る/伺う」。主語が誰かを先に決めてから列を引く のがコツです。
場面別早見表のCはいつ使う?
社外・目上・謝罪・公式文書 の4シーンが基本です。社内の同僚や他部署とのやりとりはBで十分で、Cを同僚に使うと逆に距離を感じさせて仕事が進みにくくなります。役職が上の人でも、日常会話はB、謝罪や重要な依頼のときだけCに切り替える、という運用で実務はほぼカバーできます。
「お」「ご」の例外は全部覚える必要がある?
いいえ。原則(和語→お、漢語→ご)で9割は正解できるので、例外は出てきた都度メモする で十分です。「お電話」「お料理」「お弁当」あたりは慣用で覚えてしまえばいいですが、判断に迷ったら付けない方が無難です。
このチートシートだけで十分?親記事との違いは?
このチートシートは 「引くため」 の記事です。親記事「職場で通じる敬語ガイド」は 「理解するため」 の記事で、A/B/Cフレームワークの背景・内と外(uchi-soto)の感覚・なぜ「了解しました」が社外で避けるべきなのか、などを解説しています。最初に親記事を一度読んでから、このチートシートを日々のリファレンスとして使うのがおすすめです。