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この記事を読むべき人
- 日本企業で働く外国人ビジネスパーソンで、敬語の3分類(尊敬語・謙譲語・丁寧語)は知っているが、いざメールや会議で文を組み立てようとすると詰まることがある
- 日本語学習者(JLPT N3〜N1) で、教科書で「召し上がる」「いただく」は覚えたが、それを実際の文章にどう組み込むのかピンとこない
- すでに「職場で通じる敬語ガイド」や「敬語チートシート」を読んだ人 で、フルセンテンスや対話の実例を見比べて感覚を掴みたい
この記事は 「読み物」ではなく「実例集」 です。冒頭の目次から、必要なセクションへ直接ジャンプして使ってください。
敬語とは(最短整理)
敬語には3種類あります。詳しい解説は親記事「職場で通じる敬語ガイド」に任せて、この記事は実例だけに集中します。
| 分類 | 機能 | 例(言う) |
|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手の動作を持ち上げる | おっしゃる |
| 謙譲語 | 自分の動作を低める | 申す/申し上げる |
| 丁寧語 | 文末を整える | 言います |
ポイントは1つ:主語が「相手」なら尊敬語、「自分」なら謙譲語、文末を整えたいだけなら丁寧語。
この記事の読み方(A/B/C凡例+注釈凡例)
A/B/C 3段階の丁寧度
Real-World Japaneseでは、同じ意図を3つの丁寧度で言い分ける という枠組みを使っています。
| レベル | 丁寧度 | 使う相手 |
|---|---|---|
| A | カジュアル | 同期・親しい後輩・家族 |
| B | ニュートラル丁寧 | 上司・他部署・初対面の社内 |
| C | フォーマル | 顧客・役員・謝罪・公式文書 |
迷ったらB。同期にCは逆に距離を作るし、上司にAはNG。Bを基準に、相手との距離感でAかCに振るのがネイティブの感覚にいちばん近い運用です。
行内注釈の凡例
各例文には、敬語の種類が一目でわかるよう注釈を付けています。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| [尊] | 尊敬語(主語=相手) |
| [謙] | 謙譲語(主語=自分) |
| [丁] | 丁寧語(文末を整えるだけ) |
| ⚠ | よくある誤用ポイント |
この凡例を頭の片隅に置いて、次の場面別例文に進んでください。
場面別の例 — 10シーン × A/B/C比較
業務で1日に1回は遭遇する10場面について、同じ意図のA/B/C 3段階+外国人がやりがちな誤用ペア を載せました。
1. あいさつ(朝)
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | おはよー | ohayō | 同期・親しい後輩のみ |
| B | おはようございます | ohayō gozaimasu | [丁]社内の標準 |
| C | おはようございます(+軽いお辞儀) | ohayō gozaimasu | [丁]顧客来訪時など |
⚠ 誤用:朝のあいさつはAを使える相手が極端に狭い。社内でも基本Bから始める。
2. お礼を言う
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | ありがとう/サンキュ | arigatō / sankyu | 同期向け |
| B | ありがとうございます | arigatō gozaimasu | [丁]社内標準 |
| C | ご丁寧にありがとうございます/誠にありがとうございます | go-teinei ni arigatō gozaimasu / makoto ni arigatō gozaimasu | [丁]顧客・公式 |
⚠ 誤用:「ご苦労さまです」は 上 → 下専用。上司・先輩には「お疲れ様です」。
3. 軽い謝罪(遅刻・誤字など)
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | ごめん/ごめんね | gomen / gomen-ne | 同期のみ |
| B | すみません | sumimasen | [丁]社内全般 |
| C | 申し訳ございません/大変失礼いたしました | mōshiwake gozaimasen / taihen shitsurei itashimashita | [謙][丁]顧客・正式謝罪 |
⚠ 誤用:実際に迷惑をかけた場面で「すみません」だけだと弱い。Cに切り替える判断が大事。
4. 依頼する
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | これお願い | kore onegai | 同期 |
| B | これお願いできますか? | kore onegai dekimasu ka? | [丁]社内 |
| C | お手数ですが、こちらご対応いただけますでしょうか | otesū desu ga, kochira go-taiō itadakemasu deshō ka | [謙]「いただく」で自分側を低める |
⚠ 誤用:「お願いさせていただきます」は不要な「させていただく」。シンプルに「お願いいたします」で十分。
5. 断る・辞退する
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | ごめん、今日は無理 | gomen, kyō wa muri | 同期のみ |
| B | すみません、今日は難しいです | sumimasen, kyō wa muzukashii desu | [丁]社内 |
| C | 恐れ入りますが、本日は都合がつかず…… | osore irimasu ga, honjitsu wa tsugō ga tsukazu… | [丁]直接NOを言わない婉曲表現 |
⚠ 誤用:「できません」と直接言うのは強すぎる。「難しい」「都合がつかず」が実質的なNO。
6. 受諾する(了解の返事)
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | りょうかい/OK | ryōkai / OK | 同期チャット |
| B | わかりました/了解しました | wakarimashita / ryōkai shimashita | [丁]社内のみ |
| C | 承知いたしました/かしこまりました | shōchi itashimashita / kashikomarimashita | [謙][丁]社外・目上 |
⚠ 誤用(外国人No.1):「了解しました」を社外に使う。「了解」には上→下のニュアンスがあると感じる日本人が多いため、社外メールでは必ず「承知いたしました」へ切り替える。
7. 質問・確認する
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | ここどういうこと? | koko dō iu koto? | 同期 |
| B | ここの意味、確認させてください | koko no imi, kakunin sasete kudasai | [丁]社内 |
| C | 恐れ入ります、こちらの点について確認させていただけますでしょうか | osore irimasu, kochira no ten ni tsuite kakunin sasete itadakemasu deshō ka | [謙]「させていただく」が許可を取る形で機能 |
⚠ 誤用:「お伺いさせていただく」は二重敬語(「伺う」が既に謙譲語)。「お伺いします」または「伺います」で十分。
8. 席を外す・中座する
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | ちょっと抜けるね | chotto nukeru ne | 同期 |
| B | 少し席を外します | sukoshi seki wo hazushimasu | [丁]社内 |
| C | 少々席を外させていただきます | shōshō seki wo hazusasete itadakimasu | [謙]商談中の中座 |
⚠ 誤用:客先で「外しています」と状態説明したいときは「外しております」が正解。「外させていただく」は許可を得て離席する場面専用。
9. 電話を切る・会議を終える
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | じゃあ、またね | jā, mata ne | 同期 |
| B | それでは、失礼します | soredewa, shitsurei shimasu | [丁]社内 |
| C | お忙しいところありがとうございました。失礼いたします | o-isogashii tokoro arigatō gozaimashita. shitsurei itashimasu | [丁]社外・電話 |
⚠ 誤用:電話を「失礼します/失礼いたします」を言わずに切ると非常に不自然。電話の定型句は必ずセットで覚える。
10. メール冒頭・署名
| レベル | 例文 | ローマ字 | 注釈 |
|---|---|---|---|
| A | お疲れ〜 | otsukare〜 | 親しい同僚チャット |
| B | お疲れ様です。〇〇です。 | otsukaresama desu. 〇〇 desu. | [丁]社内メール |
| C | いつも大変お世話になっております。〇〇社の〇〇でございます。 | itsumo taihen osewa ni natte orimasu. 〇〇-sha no 〇〇 de gozaimasu. | [謙]「おる」で自分側を低める |
⚠ 誤用:社内メール = B、社外メール = C。社内にCを使うと慇懃無礼に聞こえる。
フル対話の例 ×5(通し実例+行内注釈)
ここからは、上の場面別フレーズが 実際の流れの中でどう連なるか を、5つのリアルなシーンで示します。
シーン1:面接(入室〜退室まで)
想定:転職希望の応募者として、企業の面接に来た場面。基本はC、相手の質問への返答は[謙]で自分を下げる。
(入室)
応募者:失礼いたします。[丁]
本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。[謙]
〇〇と申します。[謙:「申す」]どうぞよろしくお願いいたします。[謙:「いたす」]
面接官:〇〇さんですね。お座りください。[尊:「お〜ください」]
応募者:失礼いたします。[丁](着席)
面接官:では、自己紹介をお願いします。
応募者:はい。〇〇と申します。[謙]
前職では◯◯社で営業を担当しておりました。[謙:「おる」]
本日はどうぞよろしくお願いいたします。[謙]
(面接終了)
応募者:本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。[謙]
失礼いたします。[丁](一礼して退室)
⚠ 誤用ポイント:自分の経歴を語るときに「営業を担当していらっしゃいました」と言ってしまう人が多いが、「いらっしゃる」は尊敬語(相手の動作)なので、自分には使えない。「担当しておりました」(「おる」の謙譲)が正解。
シーン2:クライアントへの謝罪メール(全文)
想定:納品物に誤りがあり、顧客からの指摘を受けて謝罪する場面。件名から結びまで通しで提示。
件名:【お詫び】◯◯案件 納品物の修正のご報告
〇〇株式会社
△△様
いつも大変お世話になっております。[謙:「おる」]
株式会社□□の◇◇でございます。[丁:「ござる」]
このたびは、◯◯案件の納品物に不備があり、 [丁]
△△様にご迷惑をおかけしましたこと、 ⚠「ご迷惑をかけました」では弱い
誠に申し訳ございません。[謙+丁]
ご指摘いただきました件につきまして、 [謙:「いただく」]
社内で確認のうえ、修正版を本日中に [丁]
お送りいたします。[謙:「お〜いたす」]
今後はこのようなことがないよう、 [丁]
チェック体制を見直してまいります。 [謙:「まいる」]
ご多忙のところお手数をおかけし、 [丁]
重ねてお詫び申し上げます。[謙:「申し上げる」]
何卒よろしくお願い申し上げます。 [謙]
------------------------------
株式会社□□
営業部 ◇◇ ◇◇
TEL: 03-XXXX-XXXX
Email: [email protected]
------------------------------
⚠ 誤用ポイント:「申し訳ありません」より「申し訳ございません」の方がフォーマル。社外の正式な謝罪では「ございません」を選ぶ。さらに重い場面では「誠に申し訳ございません」「重ねてお詫び申し上げます」と段階を上げる。
→ メール全体の構成を学びたい方は「ビジネスメールのテンプレート」へ。
シーン3:電話応対 — 受け取り → 取り次ぎ → 戻り
想定:会社にかかってきた電話を受け、担当者に取り次ぐ場面。電話応対は最もテンプレ化されている領域。
自分:お電話ありがとうございます。[丁]
株式会社□□、◇◇でございます。[丁:「ござる」]
相手:〇〇株式会社の△△と申します。[謙:「申す」]
営業部の□□様はいらっしゃいますでしょうか。[尊:「いらっしゃる」]
自分:△△様、いつもお世話になっております。[謙:「おる」]
□□でございますね。少々お待ちくださいませ。[尊:「お〜くださる」]
(保留 → 取り次ぎ)
……
自分:(戻って)大変お待たせいたしました。[謙+丁]
申し訳ございません、□□は ⚠ 席を外しております。[謙:「おる」(自社の人を低める)]
戻り次第、こちらからお電話を [丁]
差し上げるようお伝えいたします。[謙:「差し上げる」「申し伝える」]
相手:では、お願いいたします。
自分:かしこまりました。[謙:「かしこまる」]
お電話ありがとうございました。
失礼いたします。[丁](先方が切るのを待ってから切る)
⚠ 誤用ポイント:自社の人間を社外の人に話すときは 「内」扱い になり、たとえ上司でも 謙譲語で下げる。「□□部長は席を外していらっしゃいます」は尊敬語を使ってしまっており誤り。「□□は席を外しております」が正解。
シーン4:会議の自己紹介〜本題切り出し
想定:他部署または社外との合同ミーティング。冒頭で自己紹介し、本題に入る場面。
自分:本日は貴重なお時間をいただき、 [謙:「いただく」]
ありがとうございます。
改めまして、株式会社□□、 [丁]
営業部の◇◇と申します。[謙:「申す」]
本日はどうぞよろしくお願いいたします。[謙]
早速ですが、本日のアジェンダを [丁]
ご説明いたします。[謙:「ご説明する」+「いたす」]
まず、◯◯のご報告から [丁]
始めたいと思います。
(資料を共有)
何かご不明な点がございましたら、 [尊:「ご〜」+「ござる」]
途中でも遠慮なくお聞きください。 [尊:「お〜くださる」]
⚠ 誤用ポイント:「させていただく」は本来 相手の許可が必要な行為 に使う表現で、自分主体の通常業務に連発すると過剰敬語に聞こえる。会議冒頭の「ご説明いたします」「お話しいたします」「始めたいと思います」のように、シンプルな「いたす/思う」で言い切るほうがすっきりすることが多い。
シーン5:Slack(短文敬語のやりとり)
想定:社内Slackで、上司や他部署とのやりとり。チャット特有の短文+部分的な敬語が現代の現場の実態。
上司:◯◯さん、明日の会議資料ってもう手元にある?
自分:お疲れ様です。[丁]
まだ作成中でして、本日中に
共有させていただきます。[謙+⚠やや過剰だがチャットでは許容]
上司:了解、ありがとう!
自分:承知いたしました。[謙:「承知」]
準備でき次第、こちらに添付いたします。[謙:「いたす」]
別パターン(他部署からの依頼):
他部署:◯◯さん、来週の打ち合わせ、◇日◇時で大丈夫ですか?
自分:お声がけありがとうございます。[丁]
その日時で問題ございません。[丁:「ござる」]
会議室のご手配をお願いできますでしょうか。[謙:「ご〜」+「お願いする」]
他部署:はーい、押さえておきます!
自分:助かります。よろしくお願いいたします。[謙:「いたす」]
⚠ 誤用ポイント:チャットでは 「短く・敬意は維持」 が鉄則。長文の正式メール体(「いつも大変お世話になっております。」)をSlackに貼ると逆に重い。「お疲れ様です。」程度の軽い丁寧語+本文短文が標準。
Slack・チャット敬語の単独例
SERPの上位記事はメールと会話しか扱っていませんが、現代の日本の職場ではチャットが主戦場です。チャット特有の 短文敬語の使い分け をまとめます。
| シーン | NG(重すぎ/軽すぎ) | OK(チャット標準) |
|---|---|---|
| 受諾 | 「了解しました。」(社外NG) | 「承知しました。」「承知いたしました。」 |
| 確認依頼 | 「ご確認のほど何卒よろしくお願い申し上げます。」(重すぎ) | 「ご確認お願いします。」「ご確認いただけますと幸いです。」 |
| 感謝 | 「サンキュ」(社内目上にはNG) | 「ありがとうございます!」 |
| 質問 | 「ここどういうこと?」(社内目上にはNG) | 「こちら、もう少し詳しく教えていただけますか?」 |
| 不在連絡 | 「すいません抜けます」(カジュアル過ぎ) | 「少し席を外します。戻り次第ご連絡いたします。」 |
| 完了報告 | 「やりました」(軽すぎ) | 「対応完了しました。ご確認お願いいたします。」 |
⚠ チャットの基本原則:
- 件名・宛名・署名は省略
- 「お世話になっております」もチャットでは不要(社内)
- ただし「お疲れ様です。」だけは冒頭に1行入れることが多い
- 文末「!」は社内チャットでは許容、社外には使わない
接頭辞「お」「ご」が入る例/入らない例
接頭辞「お」「ご」は付ければ丁寧、というほど単純ではありません。
✅ 自然な例
| 単語 | 種類 | 使い方 |
|---|---|---|
| お名前 | 和語 + お | 「お名前を頂戴できますか」 |
| お時間 | 和語 + お | 「お時間をいただきありがとうございます」 |
| ご連絡 | 漢語 + ご | 「ご連絡お待ちしております」 |
| ご確認 | 漢語 + ご | 「ご確認お願いいたします」 |
| お電話 | 例外(漢語だがお) | 「お電話ありがとうございます」 |
| お料理 | 例外(漢語だがお) | 「本日のお料理」 |
⚠ 不自然or誤りの例
| 誤り | 正解 | 理由 |
|---|---|---|
| ごメール | お送りしたメール/メール | 外来語に「ご」は付かない |
| お検討 | ご検討 | 「検討」は漢語なので「ご」 |
| ご名前 | お名前 | 「名前」は和語なので「お」 |
| お料金 | ご料金 | 「料金」は漢語なので「ご」 |
| ご教示いたします(自分の動作) | ご説明いたします/ご案内いたします | 「ご教示」は相手に求める語。自分の動作にはおかしい |
迷ったときの最終手段:「お」を付けて変なら「ご」、どちらもしっくり来なければ無理に付けない方が安全。「お検討」「ごメール」のような不自然な接頭辞は、付けないより悪い印象を与えます。
外国人がよくやる5つの誤用(実例ペアつき)
ここまでの例を踏まえて、特に 「自分はやっていないつもり」でも実はやっている 5つの誤用を、誤り例 → 正解の形で並べます。
誤用1:「了解しました」を社外メールで使う
| ⚠ 誤り | ✅ 正解 |
|---|---|
| 「了解しました。修正版をお送りします。」(顧客宛) | 「承知いたしました。修正版をお送りいたします。」 |
「了解」には 上 → 下への確認 のニュアンスを感じる日本人が多い。社外メールでは必ず「承知いたしました/かしこまりました」へ切り替える。社内の同僚相手なら「了解しました」で問題ない。
誤用2:「ご苦労さま」を上司に使う
| ⚠ 誤り | ✅ 正解 |
|---|---|
| 「部長、ご苦労さまでした。」 | 「部長、お疲れ様でした。」 |
「ご苦労さま」は 上 → 下専用。上司・先輩には「お疲れ様です/お疲れ様でした」。
誤用3:「させていただく」の連発
| ⚠ 誤り | ✅ 正解 |
|---|---|
| 「資料をお送りさせていただきます。」 | 「資料をお送りいたします。」 |
| 「ご説明させていただきます。」 | 「ご説明いたします。」 |
「させていただく」は本来 相手の許可が必要な行為 にだけ使う表現。「資料を送る」「説明する」は許可を必要とする行為ではないので、「いたします」で十分。
誤用4:謙譲語を相手に向ける
| ⚠ 誤り | ✅ 正解 |
|---|---|
| 「社長はおられますか?」 | 「社長はいらっしゃいますか?」 |
| 「資料を拝見してください。」 | 「資料をご覧ください。」 |
「おる」「拝見する」は 自分側を低める語(謙譲語)。相手の動作には使えない。主語が誰か を確認してから動詞を選ぶ習慣をつけると防げる。
誤用5:自社の人間に尊敬語を使う(社外向けの会話で)
| ⚠ 誤り | ✅ 正解 |
|---|---|
| (顧客に)「部長の田中はただいま席を外していらっしゃいます。」 | 「田中はただいま席を外しております。」 |
| (顧客に)「弊社の社長がそのようにおっしゃっておりました。」 | 「弊社の社長が、そのように申しておりました。」 |
社外の人と話すときは、自分の上司や社長も 「内」扱い になり、謙譲語で下げる のが正解。これは英語の感覚とちょうど逆なので、外国人がいちばん混乱するポイントの1つ。
もっと深く・もっと早く知りたい方へ
この記事は「実例で覚える」入口です。さらに深掘り/早引きしたい方には、姉妹記事を用意しています。
- 概念から理解したい方:「職場で通じる敬語ガイド」(A/B/Cフレームワークと内・外の感覚を体系的に解説)
- 動詞や場面をサッと引きたい方:「敬語チートシート」(30動詞×10場面の早見表)
- 自分のミスを診断したい方:「外国人がやりがちな敬語ミス8選」(致命度別の優先順位つき)
- シーン別フレーズをコピペで使いたい方:「ビジネス日本語フレーズ集」(30フレーズ・PDF保存対応)
- オフィスで毎日使う10フレーズ:「日本のオフィスで使う丁寧フレーズ10選」(時系列ガイド)
- ビジネスメール全体の構成を学びたい方:「ビジネスメールのテンプレート」
- 面接・自己紹介の言い回しを学びたい方:「ビジネス日本語の自己紹介」
- これから敬語を学習する方:「敬語を最短で身につける学習法」(90日ロードマップ — 本記事の例文を使う学習プラン)
また、職場で1日に遭遇する30フレーズをA/B/Cの3レベルで収録したPDF「Polite Japanese for Work: The Essential 30」も販売中です。Slackで迷ったときにサッと開ける手元のリファレンスとして使えます。
→ Essential 30をダウンロード(Gumroad)
よくある質問
「了解しました」はビジネスでは絶対に使ってはいけない?
いいえ、社内の同僚や同期相手であれば問題ありません。注意すべきは 社外メール/目上の人/顧客 に対して使うときで、「了解」には上→下のニュアンスを感じる日本人が多いため「承知いたしました/かしこまりました」に切り替えるのが安全です。社内のSlackで上司に「了解しました」を使うかどうかは会社文化によって幅があり、迷ったら「承知しました」を選んでおけば外しません。
「させていただきます」は使わないほうがいいの?
完全にNGではありませんが、多用しすぎると過剰敬語に聞こえる ので注意が必要です。本来は「相手の許可が必要な行為」に対して使う表現で、たとえば「会議室を使わせていただいてもよろしいでしょうか」は自然です。一方、「資料をお送りさせていただきます」「ご説明させていただきます」のような 自分が主体の通常業務 には不要で、シンプルに「お送りいたします」「ご説明いたします」で十分です。1メール内で3回以上出てきたら多すぎだと思ってください。
尊敬語と謙譲語、どちらを使うかどう判断すれば?
判断軸はたった1つ、「主語は誰か」。主語が 相手(あるいは話題の中心人物) なら尊敬語、主語が 自分(あるいは自分側) なら謙譲語です。「行く」を例にすると、相手なら「いらっしゃる」(尊敬)、自分なら「参る/伺う」(謙譲)。動詞を変換する前に、いったん「これ、主語は誰だろう?」と立ち止まる癖をつけると、混同が一気に減ります。
Slackでも「いつもお世話になっております」を書くべき?
社内Slackでは不要です。チャットは件名も宛名も省略するのが標準で、「お世話になっております」のような長い決まり文句もチャットの空気には重すぎます。「お疲れ様です。」と1行だけ添えて本文に入るのがバランスのよい運用。一方、社外とのSlack Connectや、チャット形式で外部とやりとりする場面では、最初の1通だけは「いつもお世話になっております」を入れて、それ以降は省略する、というハイブリッド運用がよく見られます。
この記事の例文は全部覚える必要がある?
いいえ、全部覚える必要はありません。実務で1日に使う場面はせいぜい3〜5場面なので、まずは「あいさつ・お礼・受諾・依頼・メール冒頭」の5つを完璧にし、残りは必要になった都度この記事に戻ってきて引く、という使い方が現実的です。「敬語チートシート」の早見表と組み合わせると、さらに引きやすくなります。