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外国人社員への電話応対の教え方|受け方・かけ方とつまずき指導ポイント

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各セクションは独立しているので、明日の指導で必要なところだけ拾って使えます。


まず外国人がつまずく電話の3原則

フレーズを教える前に、この3つだけは先に共有してください。ここを外すと、どれだけ丁寧な言葉を覚えても電話が成立しません。外国人メンバーには「日本の電話は、言葉より先にこの3つのルールがある」と前置きすると入りやすくなります。

  1. 3コール以内に出る。 3回鳴り終わってから出るのは「待たせた」と受け取られます。遅れたら、社名の前に「お待たせいたしました」を添える、とセットで教えます。
  2. ビジネスでは「もしもし」を使わない。 くだけた言い方なので、第一声は社名を名乗る、が原則です。例外は電波が切れかけたときの確認だけ、と線引きまで伝えます。
  3. 身内には敬称をつけない。 社外の相手には、上司でも「田中部長」ではなく「田中」と呼び捨てにします(「田中は席を外しております」)。これが内と外の使い分けで、社内では上司を高め、社外に対しては自社全体を「内」として下げる、という向きです。この逆転が外国人メンバーの最大のつまずきどころ なので、後半の指導ポイントで重点的に扱います。

3つ目の文法的な理由(自分側を下げ、相手側を高める)は、後半の「間違いやすい敬語」で掘り下げます。


丁寧度は「社内/上司/社外」の3区分で教える

当サイトでは職場の日本語を丁寧度で3段階に整理しています。外国人メンバーに教えるときは、英語の敬語レベルの話を持ち込むより、相手で切り替える3区分として渡すほうが実戦で動けます。

区分電話の相手教え方のひとこと
社内・同僚気心の知れた同僚・後輩ですます調は保ちつつ、肩の力を抜いてよい
社内・上司上司、慣れた社外の相手迷ったらここに合わせる安全な既定値
社外・取引先取引先、役員、初めての相手尊敬語・謙譲語をフルに。崩さない

電話では「相手の顔が見えない瞬間は、上の区分に倒す」が鉄則です。共有の電話にかかってきた知らない相手は、分かるまで社外・取引先として扱う、と教えてください。詳しい敬語の土台は敬語ガイドに譲ります。


受け方の基本フレーズと指導ポイント

電話を受けてから切るまでを、場面順に並べます。外国人メンバーには「この順番どおりに進む」と地図を見せると安心します。

第一声から取り次ぎまで

場面社内・上司社外・取引先
第一声はい、◯◯でございますお電話ありがとうございます、◯◯の田中でございます
相手の確認失礼ですが、どちら様でしょうか恐れ入りますが、御社名とお名前を頂戴できますでしょうか
復唱で確定◯◯様でいらっしゃいますね◯◯様でいらっしゃいますね
取り次ぎ担当者に代わりますので、少々お待ちくださいただいまお繋ぎいたします、少々お待ちくださいませ
保留少々お待ちください少々お待ちくださいませ
保留から戻るお待たせいたしましたお待たせいたしました

担当者が不在のとき

ここが実戦で一番多い場面です。内と外の使い分けが効くので、表をそのまま共有してください。

状況言い方
席を外している申し訳ございません、田中はただいま席を外しております
別の電話に出ているあいにく田中は別の電話に出ております
終日不在本日、田中は終日不在にしております
折り返しを申し出る戻り次第、こちらから折り返しお電話を差し上げましょうか
伝言を申し出るよろしければ、ご伝言を承りましょうか

外国人がここで固まる → こう教える


この場面の指導、毎回ゼロから説明していませんか。 Essential 30 PDFは、職場で頻出する30場面のフレーズをポケットサイズにまとめた教材です。外国人メンバーの手元に1部渡しておくと、電話のたびに口頭で教える手間が減ります。


かけ方の基本フレーズと指導ポイント

今度は自分から電話をかける側です。受け方と順番が逆になり、先に名乗る、を徹底させます。日本のビジネスでは会社の代表として見られるので、用件より先に社名と名前を出す、と理由まで伝えると納得が早いです。

場面社内・上司社外・取引先
名乗りお世話になっております。◯◯の田中と申しますいつもお世話になっております。◯◯株式会社の田中と申します
用件を切り出す◯◯の件でお電話いたしました◯◯の件で、ご連絡を差し上げました
取り次ぎ依頼恐れ入りますが、営業部の佐藤様はいらっしゃいますでしょうか恐れ入りますが、佐藤様をお願いできますでしょうか
伝言を頼む恐れ入りますが、ご伝言をお願いできますでしょうかお手すきの際に、折り返しご連絡いただけますと幸いです

「お世話になっております」は直訳しづらい挨拶ですが、外国人メンバーには「取引のある相手との電話を始める決まり文句」と割り切って覚えさせるのが近道です。


クッション言葉 完全リスト

電話応対の印象を決めるのがクッション言葉です。要求や断りの前に一語添えるだけで、同じ内容でも当たりが柔らかくなります。外国人メンバーには「いきなり用件に入らず、まずこの一言」と教えると効果が分かりやすいです。

クッション言葉使う場面
恐れ入りますが依頼・確認の前恐れ入りますが、お名前を頂戴できますでしょうか
差し支えなければ立ち入った確認の前差し支えなければ、ご用件を伺えますでしょうか
あいにく相手の希望に添えないときあいにく田中は外出しております
お手数ですが相手に手間をかけるときお手数ですが、改めてお掛け直しいただけますでしょうか
せっかくですが申し出を断るときせっかくですが、その件は担当外でございます

つまずき復旧——電話が崩れた瞬間の立て直し

教科書どおりに進まないのが実際の電話です。外国人メンバーが固まりやすい4場面と、立て直しの一言を渡しておきます。

聞き取れない・電波が悪い

カタカナの社名・人名が取れない

聞き取りは外国人メンバーが最も苦戦する技能です。「聞き返すのは失礼ではなく、間違えるほうが失礼」 を最初に伝えるだけで、固まらずに確認へ進めるようになります。

折り返しの段取り

固まって聞き逃したとき

聞き取れたふりで取り次ぐより、一度きちんと謝って聞き直すほうが安全、と伝えてください。


間違いやすい敬語(二重敬語・バイト敬語)

ここは日本人の新人もつまずく領域なので、外国人メンバー専用ではなく共通の確認表として共有できます。誤りと正しい形を並べて渡すのが一番効きます。

よくある誤り正しい形種類
よろしかったでしょうかよろしいでしょうかバイト敬語
お名前頂戴できますかお名前を伺えますか物扱いの誤り
田中部長はいらっしゃいません(社外へ)田中はおりません内と外の逆転
お電話のほう、頂戴しておりますお電話をいただいております「のほう」の濫用
ご覧になられますかご覧になりますか二重敬語

外国人が特にやりがちな2点

  1. 内と外の逆転。 社外の相手に自社の上司を高めてしまう誤りです(「田中部長はいらっしゃいます」)。正しくは「田中はおります」。電話は社外との接点なので、ここが頻発します。
  2. 「ございます」と「いらっしゃいます」の取り違え。 自分側に「いらっしゃる」を使ってしまうケースです。自分側は「おります/ございます」、相手側は「いらっしゃいます」、と向きで覚えさせます。

敬語の尊敬語・謙譲語の仕組みそのものは尊敬語と謙譲語の違いで詳しく扱っています。指導の前にこちらを共有しておくと、理屈から入れます。


声のトーン・スピード・間の取り方

電話は顔が見えないぶん、声の印象が対面以上に効きます。フレーズが完璧でも、早口で平板だと冷たく聞こえます。外国人メンバーには、慣れない言語ほど早口になりがちなので、ここを意識的に伝えてください。


完成例:2本の通話を最後まで

フレーズ単体は覚えられても、つなげるのが難しい場面です。受ける側とかける側で1本ずつ、指導の注釈つきで通しの例を示します。ロールプレイの台本としてそのまま使えます。

例1:取引先からの着信、担当者が不在(受ける側)

メンバー: お電話ありがとうございます、ABC商事でございます。

相手: お世話になっております。XYZ社の鈴木と申します。営業部の田中様はいらっしゃいますか。

メンバー: 鈴木様、いつもお世話になっております。恐れ入りますが、田中はただいま席を外しております。 (指導ポイント:身内の田中に敬称をつけない。ここで「田中部長は」と言わせない)

メンバー: 戻り次第、こちらから折り返しお電話を差し上げましょうか。 (指導ポイント:不在で止めず、必ず次の一手を出す)

相手: はい、お願いします。番号は03-1234-5678です。

メンバー: 念のため復唱いたします。03-1234-5678、XYZ社の鈴木様でいらっしゃいますね。かしこまりました。失礼いたします。 (指導ポイント:番号と名前を必ず復唱。相手が切ってから受話器を置く)

例2:取引先へ発信、取り次ぎを依頼(かける側)

メンバー: いつもお世話になっております。ABC商事の田中と申します。

相手: お世話になっております。

メンバー: 先日のお見積りの件で、購買部の佐藤様をお願いできますでしょうか。 (指導ポイント:用件を先に一言、そのうえで相手側の佐藤様には敬称をつける)

相手: 申し訳ございません、佐藤はただいま外出しております。

メンバー: さようでございますか。それでは、また改めてこちらからお電話いたします。お忙しいところ恐れ入りました、失礼いたします。 (指導ポイント:次の連絡は自分から、と段取りを握って締める)


OJT用チェックリスト(印刷可)

指導の到達確認に使えるチェックリストです。当サイトは印刷に対応しているので、このページでCmd+P(Mac)/ Ctrl+P(Windows)を押すと、ナビゲーションやCTAが落ちて手元資料として印刷できます。


よくある質問

冒頭のFAQと重複しますが、指導の現場ですぐ引けるようまとめます。

電話を取らせるのは、入社どのくらいから?

第一声と保留・取り次ぎだけなら初週から渡して問題ありません。まず「社名を名乗る → 保留 → 先輩を呼ぶ」の最小ルートだけ任せ、不在対応や伝言は慣れてから段階的に広げると、本人の不安が小さくて済みます。

英語で対応してもいい場面は?

相手が英語を希望した場合や、社内の外国人同士は英語で構いません。ただし日本語でかかってきた社外の電話は、まず日本語の型で受けて、必要なら担当者に取り次ぐのが安全です。判断に迷う段階では「分からなければ保留にして先輩を呼ぶ」を許可しておきます。

「御社」と「当社」が混乱するメンバーには?

相手の会社が「御社」、自分の会社が「当社(弊社)」、と一対で覚えさせます。電話では口頭なので「御社」「弊社」が自然です。書面の「貴社」と混ざりやすいので、口頭は御社/弊社、と割り切らせると定着します。

携帯・スマホへの折り返しで気をつけることは?

留守番電話に残すときは、社名・名前・用件・番号を簡潔に、そして番号はゆっくり2回伝える、と教えます。相手は聞き返せないので、対面以上にゆっくり、が原則です。



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電話応対の指導はここまでです。周辺は以下の記事で扱っています。外国人メンバーには、英語版の電話フレーズ記事をそのまま渡すと本人が自習できます。


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